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不登校は面白い人生の幕開けだ

他者に貢献することで幸せをつかめた【後編】

澤波有吾

小学校の頃に感じた組織には向いていないかもしれないという思考が残ったまま学生生活を終える澤波さん。自己肯定感が持てず、生き辛さを感じていましたが、どのようにして乗り越えていくのでしょうか。後編では本来の幸せを掴むまでをお伝えします。※前編はこちら :アスペルガー症候群の傾向を乗り越えて世界中を旅して見つけた自分らしい生き方【前編】

ルネサンス高等学校

──大学卒業後は就職活動を?

学校での経験から、私は組織に入るのは無理だと思っていました。会社勤めはしたくないけど、かといって特にやりたいこともない。でも食べていかなくていけない。非常に葛藤しました。

それで、就職という人生の墓場に入る前に、昔からやってみたかった旅をしてみようと思いました。旅の途中で何かやりたいことが見つかればよし、見つからなかった場合はあきらめて墓場に入ろうと思っていました。

──大学で学んだことを活かした就職に就こうとは思わなかった?

実は臨床心理士になりたくて大学に入学をしたんです。

大学で心理学科があったので、本当はその学科に行きたかったのですが、その学科は英語の試験が必須でした。しかし中学と高校で全く英語を勉強していなかったので、大学入学試験レベルの英語を習得するのは無謀だなと思いました。

そこで得意科目の2科目で受験をし、英語を勉強したうえで大学内で転学部をしようと考えていました。でも、ちょうどその年から転学部の制度がなくなってしまったんです。

すごくショックで、他の大学の心理学科に転入をしようと考え、試験勉強をするために1年休学をしました。しかし、いざ休学をしたら自己管理能力の低さのせいで勉強をしない浪人生みたいになってしまい、恥ずかしながら1年間を無駄にしてしまいました。

──なるほど。そういう経緯があったんですね。旅では何か掴めた?

はい、その旅で第一の転機が訪れました。2か月かけてタイからトルコまで行くという旅をしたんですが、パキスタンの山道をジープの天井の上に乗りながら考え事をしていたとき、「好きなことをやれば良いじゃん」とふと思うことが出来ました。

海外と違って日本では、仕事を選びさえしなければ野垂れ死ぬことはないな。だったら自分の本当にやりたいことをやろうと思いました。

その後、旅でひとつの出会いがあり、その人の影響でフリーライターを志しました。会社に入らなくても、フリーランスという道があるんだ、プロとして食べていくことが出来るんだと、目から鱗が落ちる思いでした。

──その後はフリーライターの道を?

フリーになる前に、最初は自分で仕事をとってこれないので、まずは編集プロダクションに入ることにしました。

大学時代に小説のサイトをつくっていて、その仲間が編集プロダクションを作るから良かったら手伝わないか?と声を掛けてもらったので、そこに就職をすることにしました。そこでは歴史の雑誌をやったりしたんですが、最終目標がフリーになることだったので、ある程度働いたらそこを辞めました。

その後、せっかくだから本格的にフリーで始動する前に、中南米に7ヶ月間旅に出かけることにしました。

そこで第二の転機が訪れました。南米大陸の南端、パタゴニアという素晴らしく自然が美しい場所でのことです。そこは確かに息を飲むような絶景だったのに、なぜか楽しくないなと感じたんです。

「こんなに美しいものを見ているのに、前ほど感動しない。何でだろう?」とすごく考えて、ふと気づきました。もう自分が楽しいだけでは満足出来なくなってしまったんだなって。

どんなに私が感動をしたとしても、もし私が死んでしまったとしたら、それは私と一緒に消えて無くなってしまう。それにいったい何の意味があるんだろう。そういう虚しさを感じるようになったんです。結局、私が楽しくないのは、他の人に何も与えられていないからだという結論に達しました。

それまで私は「自由に生きる」ということが人生の至上命題で、自由でさえあれば私は幸せだと思っていました。でも、それを機に自由の虚しさに気付いたんです。自由って何もダメージを受けない代わりに何も築きあげれないなと。地に根を張って、一歩ずつ何かを築いて、やがては大きな木になる。そういうものを何も持っていない。

何か人のためになることがしたい。書くことで何かに貢献したい。そう思って、とりあえずジャーナリスティックなものを書こうと思い立ちました。ただ、旅で貯金を使い果たしてしまったので、まずは生活費を稼ぎ、取材費を貯めようと考えました。

帰国後、フリーランスになったんですが、ライターの仕事は月に3万くらいしか入りませんでした。これでは到底暮らしていけないので、同時にパソコンの設定と修理屋をバイトで始めたんですが、なぜかそちらはうまくいって月30〜40万くらい稼ぐことが出来ました。そんな中、自分はライターなのか、パソコンの修理屋さんなのかというアイデンティーの崩壊が起こったこともありました。

数年間かけて500万円ほど貯めた後、まずはフィリピンへと向かいました。英語が喋れないと取材にすらならないので、フィリピンの語学学校で英語の勉強をしようと思ったんです。

半年ほど英語を学んで、なんとか日常会話くらいならできるようになった後、私は題材を求めて再び旅を始めました。マレーシアでジャングルに分け入り、ネパールで震災ボランティアをし、インドでは日本人宿でホテルスタッフとして働いたりもしましたが、イマイチピンと来るものはありませんでした。

そんな中、インドで「ヴィパッサナー瞑想」という瞑想の話を聞きました。ホテルスタッフとして働いていた時に、何人もの人が瞑想センターに行って「すごく良かった」と言っていたので、スタッフの期間が終わった後に行ってみることにしたんです。






──ヴィパッサナー瞑想とはどういうことをした?

ヴィパッサナー瞑想というのは、仏教、中でも東南アジアやスリランカなどの上座部仏教に伝わる瞑想法なんです。ヴィパッサナー瞑想にもいくつかの流派があって、私が教わったのは「ウ・バ・キン式」というミャンマーに伝わっていたものです。

10日間、センターに籠って瞑想のトレーニングをするんですが、結構ハードでしたよ。期間中、人と話してはいけない、読み書きも音楽を聞くことも出来ない、センターから出ることもできない。毎日ご飯と寝る時以外はほぼ瞑想という生活でした。参加者の中には「まるで監獄だ」と言っている人もいました。

──瞑想する時は何も考えない?

一般的な瞑想は、雑念を捨てて呼吸に集中せよ、というものが多いんですが、ヴィパッサナー瞑想はそれだけではだめで、逆にある意味脳をフル回転させる必要がありました。

──どういうこと?

雑念を捨てたうえで、「自分の体をあるがまま観察する」ということに全神経を集中させなくはいけないんです。私の半端な理解で話してしまうと間違ったことを言ってしまうので、具体的な方法について詳しくは話せませんが、日々内容が高度になっていって、10日間かけてようやく瞑想法を習得できるかどうか、という大変なものでした。

──どのような成果があった?

説明が難しいんですが、瞑想中に自分の中で非常に大きな体験をして、自分の中でくすぶっていたいろんな疑問に一気に答えが出て、人生の目的が定まりました。

それまで私は人生に目的がほしいと思っていたのに、それが見つからずにずっと苦しい思いをしていたんです。だからそれが見つかったことは、私にとってとても大きな意味のあることでした。

──その人生の目的とは?

陳腐に聞こえてしまうかもしれませんが、ズバリ「愛すること」です。瞑想中の体験の中で「幸せを生み出すものは何か?」という疑問について、直感的に自分なりの答えが出たんですが、それが愛でした。

男女の愛に限らず、誰かの幸福を願って他者に貢献することが「愛すること」だと思っています。そして愛している限り、私はどんな状態でも幸せなんだと気づきました。

つまり、幸せを生み出すのが利他心だということに気づいたんです。これまで私は今まで他人にほとんど関心がありませんでした。私の世界には私一人しか居なかったんです。でもこのとき、初めて私の世界に他人が入ってきたように感じました。

それから他人を愛せるようになったことで、自分も愛せるようになりました。それまで私は劣等コンプレックスが強くて、ありのままの自分を愛することができなかったんですが、それができるようになりました。これも、以前の私からは想像もできないことでした。

今後は、ヴィパッサナー瞑想とその土台となった上座部仏教の思想を探求しながら、ライターとしてそれを紹介することで、かつての私のように苦しんでいる人たちを救っていくことが出来たらと考えています。






幸せを生み出すのが利他心

学校に馴染めなかったという経験の一番の恐ろしさは、大人になってからも心のどこかで自分を攻めてしまい、コンプレックスが強くなり心から自分を愛せなくなること。それは他人を愛することで解消されるという極論に気付いた澤波さん。今後の活躍が楽しみです。

<澤波 有吾>
フリーライター。1980年生まれ。中学3年間を不登校で過ごしたのち、働きながら定時制高校に通うも、3年次に中退。1浪と休学の末なんとか大学を卒業し、ライターとなる。得意分野は歴史と旅。日本で稼いでは海外放浪を繰り返すが、あるときインドで瞑想中に人生の意味に気づき、仏教と瞑想の道を歩むことを決意する。

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